トップページ > インプラントのケーススタディ
現在、インプラント治療は歯が無くなったときの治療法として最もメジャーなものになりつつあります。ただ、実際に歯が入るまでに具体的にどのような手順が踏まれているかをよくご存じでない方も多いのではないでしょうか。
ここでは、ある症例を通して診査・診断から治療の完了までインプラント治療の手順を具体的にご紹介したいと思います。
注意:みなさまに正しい情報をお伝えするために、このページでは歯肉の切開画像など、出血を伴う患部の写真が掲載されています。ご了承いただいたうえでご覧ください。
患者様は56歳の女性。右上のブリッジが壊れ、うまく咬めなくなったことをお悩みで来院されました。
レントゲン、CT撮影に基づく数回のコンサルテーションの結果、咬み合わせを回復するためにインプラント治療を行うことを選択しました。
インプラント治療をする前に、CT撮影に基づいた治療計画を立てることが必要です。ここでは、左下の部分へのSimPlant®を使用したインプラントの埋入シミュレーションについてご紹介します。 SimPlant®は、二次元のCT画像から三次元的な像を作成するCT画像診断の補助ツールとして世界でもっともポピュラーなものです。
上の図が、CTで撮影した平面図です。日常的に使用するレントゲン画像とよく似ているので、全体像を把握するのに有効です。
下の図は、CT画像から作成した3Dデータです。骨の形や量を把握がしやすいので、詳細な診断を行うことができます。
下顎の骨の中には、神経と血管が通っている管があります。インプラントを埋入することでこの管を傷つけないように、まず管の位置をしっかりと確認する必要があります。
仮想の歯を置くことで、最終的な治療完了の状態をシミュレーションします。
仮想の歯に基づいてインプラント埋入位置を決定します。とりあえずインプラントを埋入するのではなく、最終的な仕上がりを想定してからそのために最善の位置にインプラントを埋入することが重要です。
SimPlant®では上で計画したインプラントの軸を中心にして回転させた骨の状態を表示することもできるので、詳細なシミュレーションが可能です。左の図は10度刻みで回転させたものです。
インプラント治療は外科手術なので、専用の手術室で行う必要があります。写真は、専用の手術室で無影灯・手術用モーターを使用して治療を行っているところです。手術着は使い捨てのものを着用しています。また、奥に見えるモニターで心拍数・脈拍・血圧を確認しています。
大げさな、と思われるかも知れませんが、インプラント治療というのはそれくらい精密な治療方法なのです。
ここでは上でシミュレーションした左下の欠損部へのインプラント埋入を見ていきます。
まず、メスで歯肉を切開し、骨を露出させます。
続いて、露出した骨にインプラント埋入用の穴を空けます。
インプラントを埋入しているところです。
3本の埋入が終わったところです。
埋入したインプラントの固定状態を確認しています。この症例では初期状態でよい固定状態だったので、その日のうちに仮歯を入れることにしました。
技工士が常駐している歯科医院では、こういったことも可能です。
このようにインプラント埋入部の型をとり、それに合わせて仮歯を作ります。
仮歯の入った状態です。あとは抜糸をすればその日のうちにものを咬むこともできます。
右上の欠損部分にも4本インプラントを埋入しました。上の写真を見るとわかるとおりそれぞれ骨の形が違うのでそれに合わせてインプラントの埋入角度を調整しています。ここでもCTデータをもとにした治療計画が重要になります。
また、左上の欠損部にも1本インプラントを埋入しました。
インプラント治療と並行して歯並びの矯正治療も行いました。アクアライナーという透明のマウスピースをつける目立たない治療法を採用しています。左が治療前の写真、真ん中がアクアライナー、右がアクアライナーを装着している写真です。
アクアライナーによる矯正治療が終わった状態です。
下の歯の最終的なかぶせものを作成しているところです。型をとって作成するのはもちろん、上の歯との咬み合わせや審美性も考慮して作成します。
治療前
治療後
最終的な治療完了後の写真です。機能的にも審美的にも患者様にご満足いただける治療ができました。
上の写真は治療後のCT撮影画像です。治療が終わった後に、結果を治療計画と照らし合わせフィードバックを行うことで、診断力、手術スキルの向上につながります。この症例では、ほぼ計画通りにインプラントの埋入を行うことができました。
インプラント治療というのは、歯の無いところに異物であるインプラント体を埋入するという歯科治療のなかでも特殊なものです。フルマウスだから難しく1本だから簡単というものではありません。ここでは比較的大がかりな症例をご紹介しましたが、1本のみの埋入でもCTの撮影やシミュレーション、念入りな診査・診断は必要です。
ただ、CTを使用していくら詳細な診査・診断を行っても、あくまでもコンピュータ上でのシミュレーションであって、大いに参考にはなりますが絶対ではないと考えています。最終的には医師の技術や経験が成否を左右するので、これからも自己研鑽を続けていきたいと思います。